仕方がないという意識

今さらですが,こんにゃくゼリー関連.

実際、10日の調査会でも谷公一衆院議員が「モチは昔から死亡事故が多い」と指摘した。一方、野田聖子消費者行政担当相は10日の会見で「モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している」と強調したが、「ゼリーだけを規制し、モチやアメを規制しない合理的な根拠は見つかりにくい」(厚労省)というのが実態だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000072-san-pol

こんにゃくゼリーの話題で比較として,しばしば餅の例が挙がります.消費されている数が分からないので何とも言えませんが,窒息で救命救急センターなどに搬送された事例は,カップ入りゼリー11例に対して餅が168例だそうで,実に10倍以上も差があります.“モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している”と言う言葉を信じるならば,これは“いくらのどに詰まるという常識が広く知れ渡ったとしても事故は絶対になくならない”という事を表しているとも言えます.それならば,取るべき道は“餅も禁止する”か“こんにゃくゼリーも許す”のどちらかになるだろうと思うのですが,実際にはそうはなりません.

では,餅とこんにゃくゼリーとでは何が違うのか.これは恐らく“仕方がないという意識”だろうと思います.

少なくとも、私がいままでに出入りした数十の(大)企業においては、意志決定が「揚げ足取りと、言い訳準備」によって回っている。このフレームにはまらない提案は、受け入れられない。少なくとも大企業相手の営業というのは、意志決定の謎を解く作業である。

GMail でなく閉鎖型の社内システムを使っても、事故が起きる確率は大して変わらないし、顧客に迷惑をかける度合いも大して変わらない。しかし、事故が起きたときに「これだけセキュリティに気を遣っていて事故ったんだから仕方ないですよね」と言い訳ができれば、大企業自体が受けるダメージは大幅に低減できる。日本の大企業においてセキュリティという言葉は、だいたいそのような意味で使われている。

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歴史で、黒船以降、日本の社会がガラッと変わったと学んだ。日本人は変化を嫌うのに、変わるときは一気に変わるとも聞く。そこには「意志決定の謎」が絡んでいる。

だって、黒船だもん、しょうがないんじゃない?
だって、あの○○社はやってますよ?
だって、となりの○○ちゃんの家でも買ってもらってるもん。
この認識が一定人数以上で共有されると、揚げ足取りは消え、完璧な言い訳ができあがる。そうなれば、すべてが一気に変わる。

http://kokokubeta.livedoor.biz/archives/51339884.html

これと同じ類の事は日常生活においてもしばしば見受けられます.餅の例で言うと,“モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している”という言葉には,“モチはのどに詰まるものなので,十分に注意しましょう”という意識の他に“だって,餅だもん,しょうがないんじゃない?”と言う意識が隠れています.少なくとも,当事者とはまったく関係のない第三者が餅でのどを詰まらせたと言う話を聞けば,多くの人はそう思うでしょう.一方で,こんにゃくゼリーに関してはまだ“仕方がない”と言う意識は十分には共有されていません.そのため,たとえ少数でも事故が起こると“全然しょうがなくない.何とかして改善ないと.それぐらいはできるでしょ!”と槍玉にあげられることになります.

しょうがないと諦めるのではなく、改良の余地があるのなら事故が起きないよう(少しでも減らせるよう)に努力すべきでは無いのか?

餅のように、昔からあって普及しきったものを変える事は不可能だが、こんにゃくゼリーはまだ間に合う。

繰り返すが、ここでマンナンライフがリーダーシップをとって安全性を追求して行けば、こんにゃくゼリーという食品はこれから充分に安全な食べ物になり得るのだ。

http://d.hatena.ne.jp/YOSIZO/20081009/1223526296

こんにゃくゼリーの製造者側に必要だった事は,もちろん死亡事故をなくすための改善努力です.しかし,個人的には(残念ながら)どれだけ改善を重ねても死亡事故をなくすことはできないだろうと思います.したがって,より正確に言うならば,こんにゃくゼリーの製造者側に必要だった事は“周りの人間が仕方がないと諦めるまで死亡事故を減らすための改善努力を行い,それをアピールする事”だろうと思います.すなわち,“これだけ頑張ってるのに事故が起こるんだもの,しょうがないんじゃない?”と.もちろん,現状でさえ法律で規制してしまおうと言う動きがある位なので,ある程度中身が伴っていなければ逆効果でしょうが.

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