アウトプットする内容は自己満足で良い

まずアウトプットについて。IT系であればブログは書いた方が良い。ただし、特定のキーワードに沿ったものを書く。日常とか食べたものとか話題になった記事のリンク集とかそんなものはいらない。

そういうよけいな情報はただの自己満足でしかないし、ノイズにしかならない。有益な情報はそういうものではない。もし書き手がすごい人になって、一挙手一投足に注目が集まるようになったら書けば良い。

自分がやっている業務分野に関する情報だけを徹底してアウトプットする。業務機密に関するものはもちろん書かないこと。自分の中では「こんな事みんな興味ないよ」とか「常識だろ」とか思っていることでも意外と興味を持ってもらえることに気づくはず。

アウトプットはとにかく定期的に続ける事。はじめの熱がある時だけ連続で投下して一気に冷めるのはまずいパターン。だったら二日に一回とかにして、書きだめておく方が良い。そのためにもニュース系記事は避けた方が良い。

何かの記事に対する評論みたいのも避けた方が良い。これも食べ物と同じで、すごい人になったら皆聞きたいと思うはず。それまでは別に興味を持たれることもなく、ノイズとしてしか扱われないだろう。

できるIT系エンジニアになる方法 - Togetter

久々にブログ論について考えてみます.まず,私自身は上記の意見にはあまり賛同しておらず,具体的には以下のように考えています.

  • 特に初期段階においては更新頻度が最重要(更新すると言う行為自体に慣れるため)
  • 記事の質がどうとか言及する内容などのブログの方向性は1年位続けた後に考えれば良い

更新頻度は唯一自分でコントロールできるもの

ブログ以前のテキストサイト時代から,「注目を集める(読者を集める)ためにはある程度テーマを絞って言及した方が良い」と言われてきました.テーマを絞ったブログ(Web サイト)は,様々な事へ言及するスタイルのものに比べてリピーターが付きやすいと言う特徴があります.一貫して同じテーマについて言及しておくと,気になった読者が取り合えず RSS リーダーに登録しておくかと言う気持ちにさせやすく,そこから読者を増やせると言う効果が期待できます.

しかし,「テーマを絞った状態である程度の更新頻度を維持する」と言うのは予想以上に難しい行為です.特に,ブログ開始直後は,「ブログ更新のネタとして記憶の片隅に残しておく」と言ったような習慣もついていないため,すぐに書きたい内容が枯渇してしまいます.

とりわけブログ開始直後では,更新頻度は重要です.ブログ開始直後には,自分のどのような記事が読者に好まれるのかと言った事はほとんど分かりません.また,多くの人は,読者に自分の記事を伝える(宣伝する)手段も持ち合わせていません.そのため,開始直後にはとにかく数を撃ってみる必要があります.

また,ブログ開始直後では更新頻度が重要な別の理由として,「更新すると言う行為自体に慣れるため」と言うものがあります.

いくつか計算しておきます。ここでいう「死亡」とは「二度と更新されない」という意味です。

  • 24時間以内に更新された日記の死亡率は、約1.3%。
  • 1週間放置された日記の死亡率は、約16%。
  • 2週間放置された日記の死亡率は、約32%。
  • 1ヶ月放置された日記の死亡率は、約52%。
  • 3ヶ月放置された日記の死亡率は、約90%。

では、ずばり、ブログはいつ死ぬのでしょうか。データをながめますと、初めて死亡率90%を超えたのは、最終更新から78日経過後でした。したがいまして、だいたい75日ほど更新が停止すると、そのブログは「死んだ」と言っていいかと思います。「人の噂も七十五日」の格言は、案外まっとうな数字なのかもしれません。

2006-10-06

ブログを更新すると言う行為はかなり飽きやすいものです.2週間更新しないと,1/3 程度のものはそのまま二度と更新されずに死亡してしまうそうです.そう考えると,ブログによるアウトプットを考える際には,更新作業をいかに習慣化するかが一つの鍵となってきます.

個人的に,ブログを長く続けるのに必要な要素は「惰性」だと感じています.ブログを更新する事によって得られる具体的なメリットと言うのはなかなか実感できません.そのため,「自分にとって何らかの利益をもたらして欲しいから」のようなモチベーションで更新作業を行っていると,その利益を実感する事ができず,すぐに更新作業が億劫になってきます.また,あまり崇高な目標を立てて「自己満足ではない」記事を書こうと心がけてしまうと,更新する事に二の足を踏んでしまうと言う事も考えられます.

「ブログを書く事自体が自己満足である」と割り切って,最初のうちはニュース記事の感想であろうが何であろうが書きたいものをとにかくたくさん書いてみると言うのが良いだろうと感じています.「自分がやっている業務分野に関する情報だけ」のような書く内容の選別行為は,更新する事に慣れた後でも遅くありません.

何がプラスになるかは誰にも分からない

何が読者に受けるかと言う事は非常に予測し辛いものです.私自身も,最近はある程度は書いたものに対する反響を予測できるようになりましたが,それでも結構な頻度で外れます.最近で最も想定外だったのは http://twitter.com/tt_clown/status/22769039758 の呟きでした.この呟きを書くのに要した時間は 30秒程度だったと思いますが,その 30秒程度で書いたものが1, 2時間かけて書いた記事の何10倍もの注目を集めています.

こういった「想定外の注目」と言うのは,言い方は悪いですがある程度「適当」に更新していないと得られにくいものです.はてなブックマークの注目のエントリーなどを見ていても,まったく無名*1のブロガーが,話題になった記事にちょっとした感想を述べたものが大きな注目を集めていると言う現象もよく見られます.

気になった記事へのちょっとした感想など専門外の事に言及したものは確かにノイズになりやすいです.しかし,想定外の大きな注目を集めるものはそう言ったノイズの中から現れる事も多々あります.

また,専門分野とは関係のない記事を書く事によって気分転換になり,それが今後の(専門分野に関する)記事にもプラスに働く事もあります.

同じ事ばかり書いていると飽きてくる。そんなときは寝返り打ってみるのが良い。

・・・(中略)・・・

なぜこんなことを書いたかと言うと、このサイトの存在が私にとってわずかに不快だからである。この不快感は今に始まったことではなく、去年から続いている。

「ある固定した考え方を続けていくと、鬱血が起こってきて、床ずれし始めます。その始まりのサインは、軽い不快感です。」という糸井重里氏の表現が、まさに自分の状態と一致する。その不快感から、毎日文章を書いて公表することの困難性という問題が認識できる。

問題は認識されても、これといった解決方法は見つかっていない。軽い不快感が続き、解決方法を見出せぬまま閉鎖していったサイトも多いだろう。ここもいずれはそうなるかもしれない。

しかし、具体的で即効性のある解決とはいえないのだが、まずは「寝返り」を打ってみるのがいいのではないか、と考えている。寝返りは不快な感覚を解消するために体が無意識に動いてしまうことだ。軽い不快感や違和感を感じたら、まずは寝返りを打ってみるのが良いのではないだろうか。

寝返り打ちたくならないか? -問題発見のための寝返り理論-

ブログによるアウトプットは重く考えない方が良い

ブログのように継続性が重要になるアウトプットでは,あまり重く考えると続かないと言う問題があります.Web のこれまでの発展を考えても,アウトプットする側はあれこれ考えずに取り合えず公開してみて,その記事に価値があるかどうかは Google などの検索エンジンやはてなブックマークなどの SBM,その他のニュースサイトなどの編集的な役割を持つサイト,システムに任せる方が良いように感じます.

ある程度きちんとしたアウトプットは,アプリケーションや Web サービスなど自分の作った成果物に委ねるとして,ブログにはそこまで多くを期待しない方が,より多くのアウトプットを出していくと言う観点でも良いように思いました.

*1:平常時の PV も大したことなく,これまで一度も注目のエントリー入りした事もないようなブロガー位の意味