はてブ衰退論

Delicious 閉鎖かと言う憶測記事 を発端としてか,最近「SBM( or はてブ)は終わった!これからは Twitter だ!Facebook だ!」と言う話をぽつぽつ聞くので,今回は「はてブ衰退論/限界論」について考えてみます.

まず,はてなブックマーク 年間ランキング TOP100 の推移 - Life like a clown でもちょっと触れましたが,個人的には SBM 衰退論,少なくともはてブ衰退論には否定的です.以下に,http://b.hatena.ne.jp/ に表示されている記事総数とブックマーク総数の変化から各年ごとの「ブックマークされた記事数」と「ブックマーク総数」を推測した図を再掲します(詳細は,はてなブックマーク 年間ランキング TOP100 の推移 - Life like a clown を参照).

Twitter について捕捉すると,日本では twitter.com のはてなブックマークエントリ から 2007/03 ごろに第 1次ブームが,ヒウィッヒヒー事件 から 2009/07 ごろに第 2次ブーム が来たと推測できます.それにも関わらず,2009 → 2010 年では「ブックマークされた記事数」,「ブックマーク総数」ともに過去最高の伸びを達成しています.2010 → 2011 年は,「ブックマーク総数」はやや勢いが落ちたものの「ブックマークされた記事数」では依然として過去最高並の伸びを維持しています.

このように,はてなブックマークに限って見ると,ネット界隈での印象論とは裏腹に Twitter 出現以降も(少なくともデータ上は)好調を維持しています.

情報の集約が難しい Twitter

はてなブックマークTwitter に取って代わられると言う主張で,理由の一つに挙げられるものに「同じ URL を含む Twitter 上での呟きの一覧を表示すればはてなブックマークのエントリーページと同様のものになるから」と言うものがあります.しかし,以下のような理由で実現するのに困難が伴います.

  • 短縮 URL の普及にともない,「同じ URL」の判定が単純にはいかなくっている.
  • ノイズ的な呟きが多すぎる.

例えば,「同じ URL を含む Twitter 上での呟きの一覧表示」については,有名な短縮 URL サービスの一つである bit.ly 自身がこのサービスを提供しようと試みました.しかし,bit.ly 自身も「同じ URL に対して複数の短縮 URL が付けられてしまう」と言う問題を完全には解決できなかったようで,(短縮前は)同じ URL なのに呟き一覧には表示されないと言う問題が目に付き,本格的に普及することはありませんでした.

現在,この類のサービスとして有名なものに Topsy, BackTweets,国内発としては Twib があります.私自身も自分のブログに関する言及は,Topsy のエントリーページを表示するブックマークレットをブラウザに登録して確認しています.しかし,例えば,この Topsy に関して言えば,ここ最近は当初ほどの精度がなくなった(拾い漏れ)と言う印象が強いです(自分が投稿したブログ更新通知すら漏れるときがある).これは,この類のサービスが呟き数に対してスケールさせるのがかなり難しいと言う事を実感させてくれます.

Twitter が「ある(短縮前の)URL に対する呟き一覧」機能を公式にサポートすれば事情は変わってくるだろうと思います.しかし,現状では SBM などのような情報集約的なサービスに取って代わろうとするには,問題とそれを解決するための労力が大きすぎると言うのが現時点での感想です.

追記

b:id:worris ん? 公式検索で短縮URLを集約してるよね。主要なものだけだろうけど。 http://search.twitter.com/search?q=http://d.hatena.ne.jp/tt_clown/20110213/1297609619

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/tt_clown/20110213/1297609619

公式で対応していた のですね,知りませんでした.調べてないのでどのような形で提供されているのかはまだ分かりませんが,場合によっては上記で書いた事とは違う未来が見えてくるのかもしれません.

提供企業における該当サービスの位置付け

以前,居酒屋で「Yahoo! Japan では,それなりに PV を集められそうな Web サービスを提案しても,基準とされる対象がでかすぎて(月間 PV 数億とかそんなレベル)まったく相手にしてもらえない」のような話を聞いた事がありました.この例のように,その Web サービスが生きるか死ぬかを考える際には,その Web サービスの(Web サービスを提供している)企業での位置づけを考える事も大切なように思います.その意味では,One of them である 米Yahoo!Delicious と,かなりの部分をそこに頼っている(であろう)はてなはてなブックマーク を単純に比較するのは難しいと言う気がします(「少なくともはてなブックマークは」表現しているも,その辺りに起因する).

はてなブックマークは最強のスパムサー・・・じゃなかった SEO 的にも非常に優秀なサービスです.その観点から考えても,みすみす死なせるような事はしないだろうと思います.

おわりに

最近の例で言うと「GoogleFacebook に食われてしまう!」のような過激な主張をする人が必ず現れるように,大きな流行が来ると「これまでのサービスは全て駆逐されてしまう」と言う論争は起こりがちです.しかし,既存の Web サービスだって駆逐されないように改良されていきます.そのため,そう言った極端な事が発生するのはまぁ稀な方だろうと言うのが個人的な感想です.