ソーシャル時代における独自ドメインの重要性

Google のブログサービスである Blogger で国別に異なる URL にリダイレクトするように変更されたらしく、いくつかのサイトでこの影響(問題)について取り上げられていました。

このブログでは、主に日本語を使っている。そのため、読者の大半は日本に属するIPからのアクセスである。したがって、最近のBloggerの変更により、自動的にcpplover.blogspot.jpにリダイレクトされる。既存のcpplover.blogspot.comはちゃんとリダイレクトされるので、すでに存在するリンクはそのまま動く。しかし、URLが異なるというのは、非常に問題だ。とくに、このソーシャル全盛の時代においては。

オンラインブックマークというサービスがある。これは、ブックマークをオンライン上で公開できるサービスである。多くのユーザーがブックマークするURLは、高価値の可能性が高い。Web検索の黎明期、多くの被リンクを得ているURLの価値が高いと判断されたのと同様だ。他にも、Twitterで多く言及されているURLは、価値が高い可能性がある。他にも、FacebookのLikeボタンやGoogle自らやっている+1ボタンのようなものも同様だ。これらのサービスは、URLに対して評価のカウントを与える。

ところが、既存のURLは、すべてblogspot.comを使っている。これがblogspot.jpに変更されたことにより、今までのカウントがすべてご破算になってしまうのだ。正確に言うと、既存のカウントがなくなるわけではない。しかし、これ以上既存のカウントは上がらない。新しいコンテンツは、.comではなく.jpでドメインでカウントされる。何にせよ、従来のカウントは、もうこれ以上上がらないのだ。つまり、このブログでは、従来の.comと今の.jpにカウントが分散してしまっている。

英語で書かれているブログはもっと悲惨だ。英語が母国語の国は多数ある。アメリカとイギリスとオーストラリアだけ考えたとしても、diggredditに登録する時、Likeボタンや+1ボタンを押す時、それぞれ.com、.uk、.auに分散してしまう。

BloggerのccTLDリダイレクトは相当ひどい - 本の虫

昔から独自ドメイン(自分で管理できるドメイン名)はそれなりに重要でしたが、その多くは「ユーザが覚えやすい名前を選択できる」、「ブランドイメージの向上が期待できる」と言った要因の方が多くを占めており、「まぁ気にしない人なら別に何とかなる」と言うケースも数多く存在していました。

実際、ソーシャル以前の最重要項目*1であった「Google からの評価(Google の検索結果の上位に表示されるかどうか)」は、ドメインを変更したとしても変更後のドメインに(ある程度は)評価を引き継ぐ事のできるような仕組みが備わっていました。

検索エンジンの結果で表示されるページの URL を変更する必要がある場合は、サーバー サイドの 301 リダイレクトを使用することをおすすめします。これは、ユーザーや検索エンジンが正しいページにたどり着くことを保証する最善の方法です。301 ステータス コードは、ページが新しい場所へ完全に移動したことを意味します。

301 リダイレクトが特に役立つのは次のような状況です:

  • サイトを新しいドメインに移動し、できるだけスムーズに移行を行いたい場合。
  • ユーザーが複数の異なる URL を介してサイトにアクセスする場合。たとえば、ホーム ページに http://example.com/homehttp://home.example.comhttp://www.example.com といった複数の URL でアクセスできる場合、いずれか 1 つの URL を優先的な(正規の)リンク先として設定し、301 リダイレクトによって他の URL からのトラフィックをその優先 URL に送ることができます。ウェブマスター ツールを使用して使用するドメインを設定することもできます。
  • 2 つのウェブサイトを結合し、無効になった URL へのリンクが正しいページにリダイレクトされるようにしたい場合。
301 リダイレクト - ウェブマスターツールヘルプ

しかし、はてなブックマークや各種ソーシャルボタンのカウントは URL 毎に紐づけられているので、同じコンテンツであっても URL が異なると評価(カウント)が分散してしまいます。ソーシャルボタンの評価については、ある程度集まると各種ランキングサイト上で紹介されてさらに多くの評価を得る事ができる、と言う相乗効果の期待できるものも多いので、同じコンテンツに対して評価が分散してしまうのは死活問題となってしまう事もあります。

そんな訳で、ここ数年は「自分の管理できるドメイン名」に対して「気分の問題」を超えた重要性が生まれつつあります。そうなってくると、例えばブログを開設する場合でも「独自ドメインを設定できるかどうか」が検討項目の一つとして重要度を増してきます。

独自ドメインで運営しようとすると、レンタルサーバ等の自スペースに Wordpress 辺りを用いて開設するのが選択肢として挙がってくるのですが、最近は Twitter 爆撃などの関係で瞬間的に数万とかのアクセスが来る事も現実的に結構ありえるので、自スペースでまともに運営していくのはかなり厳しいと言う印象です。

そう言った諸々の事情を考慮すると、livedoor ブログの有料プラン辺りで独自ドメインを設定するのが無難な落としどころかなぁと言う気がします。独自ドメインと言えば、はてなブログも有料プランで同様のサービスを始めているらしいですが…

Google+1 は是非、評価の分散しないソーシャルボタンを目指して欲しい

さて、この問題は逆に考えると URL がちょっと異なっただけで評価が分散してしまうソーシャルボタン系の問題であるとも言えます。例えば、この問題について最近ひどいなと感じた事例を一つ挙げてみます。

上記の URL は はてブで人気を集めたクックパッド神レシピ集 と言う記事(全 3 ページ)の各ページのはてなブックマーク数を示したものですが、1ページ目と 2ページ目にはともに 2000 を超えるようなブックマークが、3ページ目にも 196 ブックマークと同じコンテンツに対する評価が凄く分散してしまっている事が分かります。

Google は、canonical 属性を導入する事を推奨していたりと URL の正規化を進めているようなので、せっかくなので Google+1 ボタンの評価(カウント)もその辺りの技術を用いて「評価の分散しないソーシャルボタン」を設計して欲しいなぁと思ったりもしました。

*1:今でも依然として最重要項目の一つではありますが。