条件を統一する事の難しさ

とある世論調査の結果に関して、興味深い記事がありました。

先週末から今週にかけ、読売▽日経▽朝日▽毎日の新聞各紙が行った世論調査で、衆院選で「日本維新の会」か「旧太陽の党」に投票したいと答えた人の割合に、7〜17%と2倍以上の差がついた。なぜ、こんな違いがでるのか?
……(中略)……
「4紙とも電話調査だが、聞き方の細かな違いが大きな結果の違いとなって表れたようだ」と指摘するのは、上智大文学部新聞学科の渡辺久哲(ひさのり)教授だ。読売、日経、毎日では質問すると同時に「自民、民主、日本維新の会……」などと選択肢として全政党名を読み上げた。この方法では中小政党や新党を選ぶ人が増え、読み上げないと逆の結果になることがある。朝日は政党名を読み上げていない。政党名を読み上げた3社では、両党を選んだ人の合計は13〜17%の幅に収まった。

<衆院選世論調査>各紙で数字に差 質問方法・時期が影響

世論調査を始めとしたマスメディアが行うアンケート調査には、自分達の望む結果を得るために恣意的な設問にする事があるとよく言われます。しかし、設問自体が同じでも上記のように、たとえ選択肢が自明な場合でも、全ての選択肢を列挙するかどうかで結果が大きく変わってしまう事があるようです。

今回の事例のような場合、アンケート実施者でさえもその事(選択肢を読み上げるかどうかで結果が大きく変わる)をはっきりと認識していなかった可能性もあり、そうであれば無自覚のうちにバイアスをかけてしまった事となります。恣意的な設問のような場合であれば、その点を考慮した上で解釈(評価)すると言う事も可能ですが、今回のようなケースだと「どこにバイアスがかかっているのか」をアンケート実施者も含めて誰も認識できない事も考えられ、結果に対する解釈をより一層困難にしてしまいそうと言う気がしました。

アンケートのような統計データは、扱いが非常に難しいと常々感じるところですが、設問一つを取ってみても、条件を統一する事の難しさを改めて感じさせる話題でした。