負の優越感ゲーム

再び秩父駅混雑事件に関する話題.本筋とは離れますが.

ところで、このブログでも何度か取り上げたことのある「痛いニュース(ノ∀`)」でも、この事件が取り上げられていました。

・・・(中略)・・・

これといって感想は無いんですが、一つ疑問に思ったのが何故皆さんそんなに満員電車が好きなんだろうということでした。私は満員電車は狭いし暑いし端的に言ってとても嫌いですが、都会の皆さんは満員電車が好きだから満員電車に乗られているのでしょうか。何故かリロイ・ジョーンズのことを思い出しました。本文とは何の関係もありません。

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ふと,優越感ゲームという言葉を思い出しました.

他人より自分の方が優れている、上位にいるというのを確認しようとする行為を表現した言葉。他人と自分の違いを見つける「差異化ゲーム」と意味は近いが、上下があるという概念が入り、よりわかりやすい言葉となっている。

http://mohican.g.hatena.ne.jp/keywordlist

優越感ゲームとは,何らかのものに対して他人より自分の方が“上”であることを確認する行為を表しているそうですが,痛いニュース(ノ∀`)のコメントからもある種の優越感ゲームが感じられました.それは,“自分の方がより劣悪な環境に置かれている”と表明することで秩父駅のケースよりも(自分の置かれている環境の劣悪さが)“上”であることを確認している,ということです.似たような出来事は,他にもいろいろなところで見られます.例えば,月平均労働時間が170時間を越えていることを問題視する記事の横で,“170時間なんて甘い.私は月250時間労働している.”と表明したりするなど.一般的には不幸自慢と言うでしょうか.

注目すべき点は,これらの発言からは(少なくともこの類の発言をしている時は)劣悪な環境を作っている組織に対する批判の感情は読み取れず,むしろ“より劣悪である”ことに対して優越感を抱いているようにすら感じられる,ということです.あるいは,この類の発言をする人は“より劣悪な環境にも文句も言わずに耐えている自分”に対して優越感を抱いているのかもしれません.

現代の奴隷は、自ら進んで奴隷の衣服を着、首に屈辱のヒモを巻き付ける。そして、何より驚くべきことに、現代の奴隷は、自らが奴隷であることに気付いてすらいない。それどころか彼らは、奴隷であることの中に自らの唯一の誇りを見い出しさえしている。(リロイ・ジョーンズ

前述したエントリで指摘されていたリロイ・ジョーンズの言葉です.“よく訓練された奴隷”と言う言葉が頭をよぎり,何だか背筋が凍るような気がしました.