ブロガーの有名人化

あんたジャージでどこ行くの:現状のネットユーザはwebの進化を歓迎しないのではないかという妄想という話題が気になったので(上の趣旨とはずれている気もしますが).

blogというシステムが普及して以降,テレビや雑誌などで活躍する有名人がblogを書くという機会も増えてきました.blogには,本人の日常のことが(本当かどうかは置いておいて)本人の言葉で更新され続け,時にはコメントに対して返信がつくこともあります.そのため,単にテレビや雑誌で眺めていた時よりも,その人との距離感が近づいたような感覚を抱くようになります.

一方で,有名人がblogを利用するようになるにつれて,逆の効果も現れます.

届いたメールはすべて返信を書くようにしている(専業主婦をのぞく)。返信した場合に読者の方が驚くことがある。「返信が返って来るとは思わなかった」と言う人が実に多い。


Webサイト・ページというものが雑誌と同じようなメディアとして見られているために、返信を期待したりしないし、わざわざ感想を送ったりすることがないのだろう。好きな作家に手紙を書いても、普通は返事を期待しない。ちゃんと読んでくれるかどうかもわからない。だから時間を割いて手紙を書いたりすることはしない。

http://simple-u.jp/pd200501.html#2005-01-31

有名人に対して読者が抱いている距離感のせいもあり,一般の人が更新しているblogであったとしても(はてブなどのSBMやニュースサイト経由で)目にする機会が増えるにつれて,その人に対して必要以上に距離を感じるようになっていきます.

つまり,Web(で活動している人)とリアル(テレビや雑誌で活躍している人)の境界が曖昧になっていくと,以下の2つのことが発生します.

  • 有名人の一般人化(距離感を感じなくなる)
  • 一般人の有名人化(必要以上に距離感を感じる)

個人的には,前者の方はある程度のところで止まるような気がしますが(どこまでいってもある程度の距離は感じる),後者の方はblogが普及するにつれてさらに強まりそうです.

しかし、アクセスは増えたのだが、一方で奇妙な孤独感を感じている。最近、見知らぬ読者からのメールが極端に減った。アクセス数が平均500ぐらいの時は、毎日のようにメールが届き、返事を書いていた。しかし、ここ1週間ぐらい、ぱったりとメールが来なくなってしまった。

http://simple-u.jp/pd200311.html#2003-11-30

blogにコメントがつきにくい理由の一つに,読者が感じる書き手との距離感があるように思います.この距離感が遠くなるほど読者はエントリをテレビや雑誌を眺めるのと同じ感覚で読むようになり,わざわざコメントを残そうという気持ちが(さらに)生まれにくくなっていきます.

書き手と読者の距離感を保つという意味でも,Webとリアルの境界ははっきりしていた方がいいのかもしれません.