全ての言説に意味があるという誤解

Attribute=51:要は、勇気がないんでしょ?を読んでの感想。「全ての言説を言説通りに受け取ることは良くない」と言った方が正確でしょうか。

多くの人が、会社や友人、恋人関連の愚痴を聞く機会に少なからず遭遇します。そしてその愚痴の中には、聞いている側からすると「それはお前が(も)悪いじゃないか」と思えるような事例も数多く存在します。ですが、最近はその言説(愚痴)を言葉通りに受け取って反論したり解決策を模索する事は必ずしも良いことではないと思うようになりました。

最近、大航海時代オンラインでは、妙な事に海賊さんガンバレ!みたいな運動を公式掲示板で見かける。

…(中略)…

思うにKOEIは、一つ大事な事を見誤ったのである。
公式掲示板に、当時、つらつらと語られていた、海賊をウザがり、規制、あるいは撤廃しろと言うような声。あれを、運営に対するクレームだと勘違いしたのが間違いの始まりである。
あの言葉達は、いうなれば、クレームなどではなく、世界が正常に回っている生の証拠だったのである。
かつて、ロクな海図も無く、星と風と、そして気まぐれな天気を頼りに大海原へと帆を広げて駆け出していった船乗り達。富を求め、名声を求め、発見を求め。
彼らが、思わなかったとでも言うのだろうか。彼らが「海賊が居なければ良いのに」と、思わなかったとでも言うのだろうか。当時の冒険者達も思っていたはずである。もっと、海軍がちゃんと取り締まってくれれば・・・そもそも海賊なんて根絶やしにしてしまえば・・・。
思わなかったハズが無い。
だから、かつて公式掲示板に溢れていた、アンチ海賊の書き込みというのは全て、世界が正しく動いているという証拠に過ぎず、クレームなどではなかったのである。
アレは、酒場で愚痴っている商人達の声だと思えばよかったのである。「ウチの貿易船がまたやられたよ・・・まったく、困ったものだ。海賊なんざ、みんな海軍にとっちめられちまえばいいんだよ。ひっく。」とか、酒場でビール片手にくだ巻いてるオッサンの言葉だと思えばよかったのだ。

事実その程度のものである。

http://www.reihou.ro/main.html

愚痴にはストレスを発散させるという役割があるため、愚痴を言うこと自体は意味のある行動です。ですが、その愚痴の内容には、多くの場合、意味がありません。もちろん、その(愚痴を言った)人が常日ごろから抱いていた不満には違いないのですが、それは言葉にして表に出してしまえば、少なくともその後しばらくは収まる程度のもので、(リスクを犯してまで)行動するには至りません。また、愚痴を言って冷静になることによって、相手側のことを(少しは)考えられるようになることも期待できます。

相談する心理でも似たようなことを書きましたが「自分たちは苦労してるのに、重役達は楽して良い思いしている。むかつく!」という愚痴に対して「要は、勇気がないんでしょ?」と返すことは最善ではありません。その事(勇気がないと言う事)は既に愚痴を言っている人も認識している場合が多いため、新しい有益な情報をまったく提供できないまま、愚痴を言っている人のストレスをさらに増大させるだけと言う結果になります。「その発想はなかった」というような素晴らしい解決方法が思いついたのならば、その解決方法を提示してみるのも有効な手段ですが、多くの場合、愚痴を聞く側がすべきことは「大変だね」の一言をかけてあげる事でしょう。

「自分たちは苦労してるのに、重役達は楽して良い思いしている。むかつく!」という愚痴が聞こえる(愚痴で済んでいる)のならば、それは世界が正常に回っている生の証拠なのだろうと思います。