イチローに学ぶ「要は,勇気がないんでしょ?」

元ネタ.Attribute=51:要は、勇気がないんでしょ?

ちょっと昔の話.今よりも僕はずっとずっと言い訳をするのが好きで,理屈を説明するのが好きだったんです.
でまぁ,当時も今と変わらずメジャー志向で,
イチローと飲みながら「スカウトの見る目がない,だからメジャーへ行けないんだ」と文句言ってたんです.
シアトルのセーフコ・フィールドで. したらまた,このイチローが「じゃあ,わかった」と言うのです.「今からハーグローブの所に行こう」と.
凸なんかしたことないオレは焦りました.「いや,ちょっと待って」とあわてます.
でもイチローは,少し遠くでキャッチボールしている2人組のバッテリーを指さし, 「あいつらに投げてもらってバッティングを見せつけようぜ」と言い,ベンチを立ちます.
オレは「いや,向こうも迷惑だし」とか「さすがにうざいっしょ」とか言って止めます.
イチローは「嫌がられたら戻ってくればいいんだよ」と言ってましたが, オレが動こうとしないので行くのをやめました. 「じゃあ,チケット取って,ヤンキース・スタジアム行くか?」とイチローは言います.
「逆にそっちの方が難易度高いだろ」とオレは顔をしかめます.
「でもスカウトの見る目がないんだろ?だったらこっちから行動するしかないだろ」 とイチローは口調を強めます.
「そうだけど,もっと普通に入団テスト受けたいっていうか」とオレ.
「なに,普通って?」
「同僚の紹介とか,同じ球団のコーチとか,そういう…」とハッキリ言えない自分.
「じゃあ,オレが今からスタインブレナー連れてきて,それでお前に紹介したらいいか? それも同僚の紹介だよな」というイチロー.
「それは…,だけど,ほら,お前もこの前言ってたじゃん. ああいう何でも金で解決する球団ってすぐにマイナー落ちにさせるとか」
「は?」
「その…」
「…金で解決する球団じゃねぇよ.ノリが良い球団だよ」
「あ,そうだったね.…でもオレ,ノリの良い球団,少し苦手だし. そこまでしてメジャー行きたいってわけでもないし…」 イチローはオレの顔をじっと見つめながら,一言,
「だせぇ」
と言いました. ごちゃごちゃ言ってるけど,勇気がないだけじゃん イチローは言います.
言い訳をして,さも「こういう事情なんだ,だからしょうがないんだ」って言うけれど,
勇気がない自分を必死になって正当化してるだけじゃん,と.
直談判する勇気もないやつが,スカウトの見る目がないとか言うんじゃない. どうせ直談判に行けば「直談判で引っかかるような監督は…」って言うし
トライアウトにつれていけば「ああいう場のノリは苦手だし, そういうところに来るスカウトと仲良くなれそうにない」とか言うだろうし,
自球団の顔が利く奴を狙えって言えば「いや,あいつとは交流がないし」って何かにつけて言い訳するんだろ?
だったら「自分にはメジャーに挑戦する勇気がないんです」って素直に認めて文句言うんじゃねぇよ.
そっちの方が,よっぽど何かってときに力になりたいってと思うし,
つーか,できない理由並べて,今の自分を否定させずに,わかってもらおうとするその魂胆がだせぇ,と. あれは恥ずかしかったなー.すげぇ,恥ずかしかった.
その場は言い訳もできず笑ってごまかしたけど,家に帰ったら彼の顔とセリフが思い浮かんで,
布団の中で「でもさ,でもさ」と必死に言い訳考えてた. 「フヒヒ…サーセン.僕イチローさんと違って地球人なんです.勇気だけじゃなくて実力もありませんでした.」

黄色いガードレールの上で:態々己の価値を下げる人というエントリを読んで思いついたネタでした.ネタの心は,助言する際は,相手の力量をできるだけ正確に推測しましょう.読み直すと言いたかった心とは離れてしまってる気もするのですが,せっかく書いたので投下.元ネタに対しては,何か言いたかった訳ではなくてテンプレとして使いやすかったからでした.勢いで書きました,どうも失礼しました.

要は、勇気がないんでしょ?に関しては別に思っていることがあるのですが,まだまとまっていないのでそのうち.