ユーザの期待度を下げることで成功した Twitter

j1nn.com より.ここ数日 Twitter 関連の話題が続いてますが.

Twitter の成功要因は,「多数の Web API が公開されている為ちょっと弄るだけでそれっぽいものが作れるから」とか,Web 上においては失敗続きだった企業の「世界的ですもんね 乗るしかない このビッグウエーブに」と言う思惑とかいろいろあると思いますが,個人的には「ユーザの期待度を下げることに成功したから」と言うものが要因として大きいのでは,と思っています.

Twitter は,「ゆるい繋がり」と言うフレーズや「取り合えずフォローしまくって,フォローした相手の言動を(目に入った分だけ)適当に追う」と言う使い方指南などからも分かるように,ユーザに対して「適当に使う」事を推奨(?)してきました.これらの活動を通じて Twitter は,ユーザに「ずっと使い続けてればたまには良い事あるかもね」程度の期待感しか抱かせることなく利用させることに成功しました.

作品が面白いか否かは、作品そのものにもよる。しかし、「期待している状態」と「現実の状態」のギャップの差が大きいほど、面白い作品である場合が多いと思う。レンタルショップで何気なく借りた映画や、何気なく手にとった本がやけに面白かったりするのは、そのためである。期待していないから、実際に良い作品だった場合の期待と現実のギャップは大きく、面白いと感じる。逆に期待した作品ほど、つまらなく感じることも多いだろう。
・・・(中略)・・・
面白い・面白くない、という判断が、作品そのものの出来や個人の好みではなく、個人が抱く期待にあるところがポイントである。

面白い作品を薦めることは難しい - Simple -憂鬱なプログラマのオブジェクト指向な日々-

Web 上で提供されるサービスの多くは,光る何かはあるけれども全体的な完成度としては決して高い訳ではない,と言うものも多いように感じます.こう言った類のサービスを宣伝する際には,あまりユーザに高い期待感を抱かせることなく利用させるように仕向ける必要があります.ユーザが高い期待感を抱いたままサービスを利用し始めてしまうと,肝心の「光る何か」に気づく前に全体的な粗にばかり目が行ってしまい失望する,と言う結果を招きかねません.

しかも、昔あったWebチャットのような体をとりながら、それにすら全然及んでいない。明らかにコミュニケーションツールとしての欠陥がいくつも存在している。
・・・(中略)・・・
Twitterセカンドライフと同じサービスと考えて良い、あまりにやることがなく、無理矢理目的を見つけて、話題を絞りだす事になる。

j1nn.com

この点において,「適当なサービス」とも取れるような態度を強調してユーザに多くの期待を抱かせないように努めた(かどうかは知りませんが) Twitter は,一部の企業が煽りに煽りまくって期待度(ハードル)をいたずらに引き上げた結果,自滅してしてしまったセカンドライフとは対照的に映ります.

最近は,Twitter が世界的に流行していることもあってか様々なメディアが Twitter を取り上げるようになりました.これらの(既存)メディアは,良く言うと「大々的な宣伝」,悪く言うと「誇大宣伝」が得意です.しかし,先にも述べたように,Web サービスの多くはそういった「大々的な宣伝」に耐えられるような完成度を持ってはいません.そのため,これからは上記の記事のような「大きな期待感を抱いて乗り込んできて,そして失望した」と言うようなユーザももっと増えてくるのだろうな,と思います.

もし,他人に Twitter を勧めるとしたら,「あってもなくてもどうでも良いんだけど,使い続けてるとたまに良いことがある,かもね」位が良いのかなぁと思いました.