有権者の意識が低いと嘆いてる人達は何パーセントなら満足なのか?

かなり感情的な記事です.

民主党の圧勝で終わった今回の選挙ですが,投票率が 69% 程度であったそうです(参考:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090831-00000015-mai-pol).個人的には「奇跡的」とも感じられる投票率ですが,自分の観測範囲内では「(有権者に)失望した」「有権者の意識の低さの表れだ」と嘆いてる人達も多々見受けられました.こういった声を聞いていると「一体この人達は何パーセントなら満足なのだろう?」と非常に疑問に感じました*1

上記の図は,衆議院議員総選挙投票率一覧 の戦後の投票率の推移を示したものです.これを見ると,選挙権が初めて「20 歳以上の男女全員」に与えられた1946 年(第 22 回)でも 72.08%,55 年体制が確立したときの選挙でも高々 75.84% の投票率です.また,学生運動 などの影響で現在よりも政治的関心が強い傾向にあったと推測されるにも関わらず,1969 年(第 32 回)ではすでに投票率 70% を下回っています.「20 歳以上の男女全員」と言う条件の下で投票率 70% 程度を維持する事は想像以上に難しいことが分かります.

1990 年代後半からしばらくの間,衆議院議員選挙では投票率が 60% を切るほどにまで落ち込んだため,様々な場面で「有権者の意識の低さの表れだ」と言う嘆きの声が聞かれるようになったのも理解はできます.しかし,ここ 2 回の選挙では投票率が大きく伸び,かつての水準であった 70% 程度まで投票率が回復しつつあります.特に,前回の投票率が熱狂的なお祭り状態で迎えたものである事を考慮すると,今回の投票率が前回のそれを超えたのは奇跡的ではないのかとすら思えます.

確かに,投票率の絶対値で言えば最盛期にはまだ及びません.また,期日前投票など有権者が投票しやすいシステムが整備されたなどのアドバンテージも存在するだろうとは思います.しかし,それでもいったん失われてしまった関心を再び取り戻すと言う行為は想像以上に困難なものです.その意味で,失われたものを 10% も回復させたと言う事実は十分「評価するに値する」のではないかと感じます.

何かが悪い方向へ向かっている場合には,それに対して批判する事も必要となるでしょう.しかし,それと同じかそれ以上に,状況が(少しでも)好転した場合にはそれを評価する事も大切なことです.個人的な主観ですが,少なからぬ人達が政治不信(政治的無関心)になる原因の一つは,「何をやっても全否定しかしない」人達が多く,どう言った行動を取れば良いのか分からなくなるためではないかと感じられます(これは報道の問題かもしれません).

以前,なぜ学力は低下したのか - Life like a clown と言う記事で「「いくら学力(学歴)が高くても」「学校の勉強だけできても」がどんだけ子供を無気力にさせてるか少しは考えろ」と言う言葉で締めた事がありましたが,似たような事が言えるのではないかなと思いました.

*1:twitter で質問してみたところ,75%だそうです.