手段の目的化

雑感.

【1】本末転倒なトンチンカンな提案がまかり通る

「何がコミュニケーション上の課題か」ということから必要な企画を作るのではなく、「フェイスブックをとにかく使う」というものになる。いやぁ、オレも最近企業へ行くと「フェイスブックで何かしましょう!」みたいな話ばっかでかなり食傷気味。

どう考えても「手段の目的化」がまかり通っていて、「とにかくフェイスブックのファンコミュを立ちあげましょう!」って話になり、効果もクソもなく、作った時には高揚感を味わい、「で、運用どうするの?」ってな話になり、「何を更新すればいいの?」「“いいね”が増えないね…」みたいな話になってしまう。

電通がフェイスブックと提携したな。これから何が起こるか、5個書いておくぞ。でもあんまり真に受けるなよ - 僕と花子のルンルン生活だヨ!

この話だけと言う訳ではないのですが,「手段の目的化」と言うのはいろいろな所で目にします.つい先日も,「jQueryを使った何か仕掛けが欲しい」と言う一文を見ながらそんな感想を抱きました.また,実世界上での自分の身の回りを見回しても「Twitter 講習会」みたいなのはぽつぽつ出てきていて,特に明確な目的はないが「何とか Twitter を絡めてやろう」と言う意気込みだけは伝わってくる,みたいな光景はよく目にします.

昔,予備校の講師が以下のような事を言っていた事を思い出しました.

学生は,強力なテクニックを教えると何でもそれを使って問題を解こうとしてしまうから困る.例えるなら,雑兵1匹からいきなりグレネードランチャーをぶっ放すような.最初はハンドガンで闘ってみるとか,いろいろあるだろ?

Facebook, Twitter, JavaScript, Flash, モノはそれぞれ違いますが,「おもちゃ」を手に入れてしまうとそれを使うべきかどうかについて深く検討せずについつい使ってしまい,ユーザ視点に立つと何とも言えないチグハグ感が目立ってしまうと言うのはありがちな事例です.流行のものに触ってみるのは良いのですが,検証をほとんど行わないまま公のコンテツとしてリリースしてしまうせいでしょうか.

ただ,まぁインターネットは凄い勢いで様々なものが流行っては飽きられていくので,「世界的ですもんね 乗るしかない このビックウエーブに」とか「そもそも、WEB2.0とは『あたらしい何か楽しいもの』に他ならない」とか適当な事を言いながら,明確な目的はないままノリと勢いだけを頼りにして新しいものを数ヶ月〜1年スパンで使い捨てていくのも良いのかもなぁと思ったりもします.

蛇足

広告代理店と言えば,以前,酒の場の雑談で

昔,大手の広告代理店を通してた理由は,テレビの CM 枠とかイベントを開催するための場所とか,そういった物理的なものを用意するのが非常に大変だったので,その辺の経費を考えると大手代理店を通すのが一番効率的だった.もうちょっと過激に言うと,そこに頼まないと何かをする事自体が物理的に無理だった.それが今は,そう言った催し物をする場として Web が選択肢の一つになった事で「取りあえずリリースする」なら割と誰でもできるようになった.もちろん,集客能力だけを見ても大手広告代理店は凄いけど,以前のような「頼まないと物理的にどうしようもない」から「数ある選択肢のうちの一つ」になったと言う点が大きい.

みたいな話を聞きました.