言い訳で回る社会

なんつーか、こういう逃げ道をもっともっと作ってあげることが、この世の中を円滑にぶん回す手段のひとつにならないか、と思ってる。厳しく追求してもされても、お互いなんも得しない。その時間があったら新しい漢字考えてたほうがいい。

日本の逃げ道。 | 俺とパンダ3

面白い文章でした.実際,他国の状況はよく分かりませんが,日本の世の中は「言い訳で回っている」といった事が言われたりします.効果が疑問視されている事や一見すると何の意味があるのか分からないような事を行う理由は,「何か(自分達にとって不利益な事が)あったときに言い訳するため」である事も多いようです(参考:自粛と同調圧力とワガママ - Life like a clown).

ただ,批判的な文脈で語られる事の多い「言い訳」ですが,うまく利用すると良い方向に転ぶかもなぁと思ったりもします.

遅れに対する寛容さを育てるための「言い訳」

仕事,と言うか「なぜ,プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」と言う問いに対する答えの一つとして「バッファは必ず消費し尽くされるから」と言うものが クリティカルチェーン で指摘されていました.

プロジェクトを特定の作業単位で分割する際に,その作業を行う期間はある程度の余裕も含めて見積もられますが,その「余裕」はまず間違いなく消費し尽されてしまいます.この理由は,(上記の書籍中でも講義の課題が例に挙がっていましたが),「なぜ,夏休みの宿題は(40日間もあるのにぎりぎりまで)終わらないのか?」と言う問いへの答えに近いものになります.すなわち,なまじ余裕を与えてしまうと油断してしまい,取り掛かりや作業ペースが遅くなるからと言うものです.

実際のプロジェクトでは必ずしも怠けていた訳ではなく,テストをもっと詳細に行うため,リファクタリングを行うため等々,個々の理由を見ると悪くはない理由な場合も多いのですが,まぁそういった諸々の理由のせいで余裕(バッファ)は必ず消費し尽されてしまいます.この結果,余裕は必ず消費し尽される一方で,当初の予定時間内には終わらない作業も必ず出現してくるので,全体としてはプロジェクトは遅れてしまう,と言った事が述べられていました.

この問題への対策として,個々の作業に関しては基本的には余裕(バッファ)は与えずに,各作業の合流地点(結合テストみたいなフェーズ)に当たる部分にそれらのバッファを全て持ってくると言うものが挙げられていました.こうする事によって各作業でバッファが必要以上に消費されてしまう事を防ぐ事ができます.

しかし,この対策がうまく機能するには「遅れる事に対して寛容であること」が必要となってきます.ぎりぎりの作業期間しか割り当てられないにも関わらず,遅れたときのペナルティも酷いような状況だと作業する人達が壊れてしまいます.

そして,現在の日本社会で(書籍を見てる限り日本限定と言う訳でもなさそうですが)この対策を導入する最大の障壁はこの「寛容さ」にあるようです.この「遅れに対する寛容さ」を育てる方法の一つとして最初に言われてたような「言い訳」が上手く機能すれば良いかもな,と思ったりしました.

「本当の締め切り」ありきでの作業になってしまう危険性

個人的には,この方法(余裕を与えない代わりに「遅れる事」に対して寛容である事)のもう一つの問題点は,作業を請け負った側が「本当の締め切り」を前提に作業してしまう危険性があると言う事だと思っています.

よく聞く例としては,何らかの原稿を執筆する際に,締め切りを告げられた後に執筆者(請け負った側)が「どうせ締め切りは延びるから」とか,もっと悪い例だと「本当の締め切りはいつですか?」のような質問をしてくると言う光景がしばしば見られたりします.このように,請け負った側が合流地点にある余裕(バッファ)の存在を知ってしまうと,その余裕を前提に作業を行ってしまうので結局バッファは(消費しなくても良い場所で)消費し尽されてしまうと言う事態にもなり兼ねません.

この辺りの上手い解決方法は,私にはまだよく分かりません.「マネジメントする側の腕の見せ所」と言ってしまえばそれまでなのでしょうが,もうちょっと汎用的なノウハウのような何かがあれば良いなぁと妄想したりします.

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