「情強」とはどう言う意味なのか?

最近よく思う事の一つに、「情強」と言う単語はどれくらいの人が本気で使っているのだろうと言うものがあります。

こうした状況の中、「情弱」 が 「お前はそんなことも知らないのか、この情報弱者め」 のような、ある種の 「罵倒語」「侮蔑語」 としても使われるようになるにつれ、「情強」 にも本来の褒め言葉、尊称としての意味 (常に新しい情報を持っている、一般人が知らないような情報に精通している) の他に、ネト充(ネットの中の生活が充実している、逆にいえばネットの外の現実世界は充実していない、リア充 ではなくネットの世界に逃げ込んでいる) といった自虐、侮蔑の意味もつくようになっています。

 その意味で、一部の 掲示板 などで使われる ネットスラング としての 「情強」 は、前後の文脈で全く違った意味でも使われる独特な言葉と云えます。

情強/ 情報強者/ 同人用語の基礎知識

「情強」と言う単語が使われる場面は、自分が観測できる範囲内だと 2ch まとめブログ位しかないのですが、このまとめ記事中で使われている「情強」と言う単語には「俺達」程度の意味しか含まれていない事も多く、本気で「情強」と思っている割合はこの単語を使う人達の何割くらいなのだろうと気になる事がよくあります。情強情強言ってる人達の中には、確かに「俺はネットに精通してるから、お前らよりも正しい情報を即座に入手する事ができる」ような事を本気で思ってそうだなぁと感じる人に出会う事もあるにはあるのですが、それが全体としてどれ位の割合なのかが分からないので、ちょっと知りたいところではあります。

ちなみに、対義語の「情弱」と言う言葉に関しては「(twitter|mixi|...) 民は情弱」みたいな発言はわりと本気で言ってそうだなぁと感じる場面に多々遭遇するので、そう言った発言をしている人達は、言葉には出さないまでも「自分(もしくは自分が属しているコミュニティ)は情強」と思っているのかもしれません。

言葉の意味の変遷

言葉の意味の変化に関しては、以前に「多くの(ネガティブな)単語は、馬鹿と言う意味だけが残ってしまう」と言う事を考えたことがありました。

Web 上で様々な文章を見るようになって、ここで紹介されている「情弱」、「池沼」以外にも、数多くの蔑称(と思われる言葉)を目にしてきました。「DQN」、「ニート」、「ゆとり」、「スイーツ(笑)」、「ガラパゴス」、「老害」、「マスゴミ」、・・・。これらの単語は、最初から蔑称として登場したものもあれば、元々は別の問題提起のために使用されていた単語が蔑称として使われるようになったものも存在します。

こういった類の言葉は、いったん蔑称として使われ始めると、当初の問題提起などに込められていた意味が著しく薄れてしまうと言う特徴があります。例えば、現状において「ゆとり」、「スイーツ(笑)」、「ガラパゴス」と言う言葉が使われる場面は多くの場合、自分が嘲笑し馬鹿にしたい対象が「年下っぽく見えるか」、「女性っぽく見えるか」、「日本製品(日本企業)か」の違いしかなく、主張の内容自体は「お前は馬鹿だ」程度の意味しか含まれていません。

そして「馬鹿」と言う意味だけが残った - Life like a clown

ただ、最近気になっている例だと、「ガラケー」と言う言葉は「問題提起としての用語から蔑称へ」と言うステージをさらに超えて、ただ単に「iPhone や Android OS 搭載機以外の日本の携帯電話端末」を指して発言されている場面にも多々遭遇するようになってきました。「蔑称」も多用されすぎると、そこに含まれていた侮蔑的な意味合いを知らない人達が単に(この場合はスマートフォンと)区別するためだけに使うようになり、結果として侮蔑的な意味合いが少しずつ薄れていくと言う現象が見られて面白いなと思いました。

「情強」と言う単語もこれに近い性質があり、現状では本来の意味はほとんど失われ、単に「2ch 民(こう書くとよく怒られるので、正確には ν速民でしょうか)」程度の意味合いしか持たなくなってきてるのではないかなと感じることもよくあります。