統計データは現実を反映した鏡だ、だけどその鏡は歪んでいたり割れていることもある

偏差値60以上と50以下の高校生、こんなところに違いが - ITmedia ビジネスオンライン より。「学習習慣の差が学力の差として表れている」と言うのは十分にあり得る事ですし、記事に掲載されている統計結果および結果に対する考察については妥当なところと言う感想なのですが、これを見ていて思い出したものがありました。

男性は行為の時間を過大申告する

性の領域では、女性は過小報告をし、男性は過大報告をすると言われている。性行為の所要時間のデータを見てみよう。

年代によって時間が異なるのも面白いが、ここで注目したいのは、どの年代でも女性よりも男性の方が長時間セックスをしていると申告しているところだ。セックスは多くが男女で行うもので、年代を同じにすれば男女ともに同じぐらいの時間になるはずである。

ところが、男性の方が女性よりも長い時間性行為をしていると答えている。ここは男性のプライドや社会からのプレッシャーが、男性に嘘をつかせていると考えたい。(女性よりも男性の方が高齢である組み合わせが多いという理由も考えられるので注意が必要だが。)

人々の規範意識が、嘘を生み出すのだ。

8割の人が選挙に行った

読売新聞社は、98年の参議院選挙の後に、国民が実際に投票に行ったかどうかを調べた。「投票に行きましたか、行きませんでしたか。」という質問をしたところ、約84%の人が「行った」と回答した。しかし現実の投票率はというと、政治的無関心の反映か、約59%だった。

単純に考えて、約2割強の人は投票に行っていないにも関わらず、「投票に行った」と嘘をついている。

「選挙には行くべき」という規範意識や社会からの圧力が、人々に嘘をつかせたのだろう。

人は嘘をつく -過大申告する男性-

アンケートには、本人の規範意識やプライド、社会的な圧力等さまざまな要因で「嘘」が含まれると言うものです。

前述した記事についても、「嘘」が結構含まれていそうだなと言う印象を抱きました。例えば、最初の設問に対する選択肢は、

  • 無視してできる問題だけを解いていった
  • すぐに解答を見た
  • 友人やクラスメートに相談して一緒に考えた
  • 考えても分からなければ、解答を見る前に時間をおいて解き直した
  • 納得のいくまで自分で考えてから解答を見た

となっていますが、選択肢を一見しただけで「この選択肢はダメそうだな」とか「この選択肢は無難そうだな」とか、いろいろと考えてしまいそうなものが並んでいます。

例えば、「すぐに解答を見た」、「納得のいくまで自分で考えてから解答を見た」と言う 2 つの選択肢を比べると、後者の方が「何となく、きちんと自分で考えて勉強をしている感」が表れています。しかも、「納得のいくまで」が具体的にどの程度(例えば、時間の長さなど)なのかなのかは解答者の主観に委ねられているので、例え 1 分だけであっても本人が「納得のいくまで」と言ってしまえば、それは嘘とは言えなくなります。

そう言った事を考慮すると、2つの選択肢を比較した場合、自分の勉強に対する姿勢等を疑問視されないためにも「後者を選んでおいた方が無難である」と言う損得勘定が働く事は、十分にあり得るように思います。

この記事のタイトルにした「統計データは現実を反映した鏡だ。だけどその鏡は歪んでいたり割れていることもある。」と言う言葉は、前述した 人は嘘をつく -過大申告する男性- と言う記事の締めで使われていたもので、個人的に、非常に印象深く残っている言葉です。アンケートには、解答者の見栄や嘘が多かれ少なかれ含まれます。そう言った事も考慮しながら結果を眺める必要があるなと常々感じます。