「Level1 飛空艇」症候群

最近の新人は本当に優秀。自分の入社時に比べると圧倒的に色々できる。けれども、達観しているというか見極めが早い。情報が多すぎるからか、無謀なこと、危険なことをやろうとしないそんな傾向。総じて無難になる。(tpircs)

[B! 考え方] 実際には若い世代ほど優秀だが劣化してると言う人がいる3つの理由 - @fromdusktildawnの雑記帳

世代論についてもいろいろ思う所があるのですが、はてブコメントを眺めていて、ふと「Level1 飛空艇」症候群と言う言葉を思い出しました。

FINAL FANTASYの世界では、最初から移動の自由を厳しく制限される。そしていろんな冒険をしながら苦労して苦労して情報を集め、条件をクリアして、飛空艇を手に入れるのだ。

飛空艇に乗れば、敵に遭遇せずにどこにでもいける。そしてどこにでも降りられる。ある意味ラスボスの待つダンジョンの入り口にも着地することができる。飛空艇を手に入れることは、その世界を席巻することに近い。

だが今、新しく社会人になるという世代の人は、どうもLevel1の段階からすでに飛空艇に乗っているような気がする。つまりどこにでも行けて、どこにでも降りられる自由を情報として手にしていながら、どこにも降りられない。降りれば自分のレベルでは一撃でヤられることを、知識として知っているからである。

情報過多が作り出す「Level1飛空艇」症候群 (1/3) - ITmedia NEWS

検索エンジン等の発達により、昨今は、実際に体験せずとも様々な事を「知識」として得られるようになりました。この結果、自分が挑戦しようとする事がどの程度「無謀なもの」かが実践前にある程度推測できるようになり、あまりにも無謀と思われるような事には始めから挑戦しないと言う傾向が現れているのかもしれません。これ自体は多くの場合では良い事だと思うのですが、玉砕覚悟でやってみないと実感できないような知見があったり、あるいは挫折をどう乗り越えるかのような経験が欠如したりして、マイナスな面も存在します。

ただし、現在は世の中全体が厳しい状況になっており、そう言った失敗前提の経験機会を与える余裕が企業側にもないと言う面もあるため、一概に若者だけの問題とも言えないだろうとは思います。たまに講師の方ともお話するのですが、現在の就職活動を控えた学生にも「失敗したら終わり」的な悲壮感がこれまでとは比べ物にならない位に漂っているらしく、そう言った世の中全体の余裕の無さがある種の「無難さ」に繋がっている面は大きいだろうと感じます。

バランス感覚の問題にもなってきますが、「これに挑戦するのは無謀だ」と感じるようなものでも実際に手を動かすと光が見えてくる事もあるので、自分の「挑戦する気概」にも注意を払っておいた方が良いのかなと思います。