優れた表記法と生産性の向上

先日、何となく「昇龍拳」についてググった所、面白い記述を見かけました。

必殺技のコマンドは当時、適当な略称が何も無かったため、最初に基本的なコマンドを確立した「スト2」での技の名前がそのままコマンドのパターンの代名詞として定着した。現在では、特殊なコマンドが出てきてもテンキーの数字配置に見立てる表記で割と簡単に書き表せるが、今ほどパソコンも普及していなかったためその発想が無かったのである。

昇龍拳とは (ショウリュウケンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

「テンキーの数字配置に見立てる表記」とは、斜め方向も含めた十字キーの各ボタンをキーボード等のテンキー上の各数字に対応させると言うもので、例えば十字キーの「下・右下・右」と言うコマンドは「236」と表記します。テンキー表記はネット上の様々な場面で活用されており、私が以前にネトゲ (MMORPG) をプレイしていた時でも、自分がマップ上のどこにいるのかを友人に(大まかに)伝える際にはテンキーの数字が使用されていました(例えば「今、5 辺り(マップの中心)にいる」とか)。

以下はいつか紹介したいと思っていた一節なのですが、優れた表記法は生産性(知的能力)を飛躍的に向上させると言う話があります。

「優れた表記法があれば、無駄な作業に一切頭を悩ませることなく、問題により深く集中することができ、それにより人類の知的能力が高められる。アラビア表記が出現するまで、掛け算は難しく、割り算に至っては整数の除算ですら最高の数学力を必要とした。ギリシャ時代の数学者が現代にやってきたら、西ヨーロッパの人々の大部分がとても大きな数の割り算ができることに、何よりも驚嘆するに違いない。この事実は、彼らにとってまったく信じがたいことだろう。私たちが小数の計算を簡単にやってのけることは、長い年月をかけて完全な表記法が編み出されたことの、奇跡的とも言える結果なのだ。」

―― Alfred North Whitehead

Code Complete 第 2 版 - 4.1 プログラミング言語の選択(p.74)

優れた表記法ほど広く浸透して当たり前の存在になってしまうため、自分達がその表記法からどれだけの恩恵を受けているのかピンと来ない、あるいはそう言った表記法が存在しなかった時代にどれだけの苦労を強いられていたのか想像するのが難しい、と言う特徴があるように感じられます。アラビア表記ほど偉大なものではないですが、ネット上のコミュニティ一つを取って見ても、今もなお、余計な部分に頭を悩ませなくても良いように、簡単かつ誤解(意思疎通の齟齬)を生む事のないような表記法が生み出されては(その一部が)浸透していくと言う歴史が繰り返されているようです。

上記はプログラミング言語に関する話題の中で引用されていましたが、プログラミング言語に限らずどの分野・領域においても、自分達の生産性を向上させていくためには優れた表記法が必要不可欠であると言えそうです。