身内ブックマーク問題

ここ最近、「身内ブックマーク」に関する案件が 2 件ほど発生していたようです。

前者は、http://sho-yamane.hateblo.jp/entry/2013/10/25/153738 を発端とした類似記事(改変記事等)の投稿祭りにおいて、類似記事を投稿した筆者達が、お互いの記事をブックマークし合う所謂「相互ブックマーク」を行なっていると言う点を問題視したものです。言及記事では Twitter 上で相互ブックマークする旨を呼びかけていた点も指摘されており、これが事実だとすると自発的な相互ブックマーク(あるいは身内ブックマーク)の一線を越え、明確なスパム行為にも抵触するだろうと考えられます。「呼びかけていた」は私の勘違いのようです。誠に申し訳ありません。また、この件については はてなブログ界隈での現象に関する調査 - Life like a clown にて補足しています。

後者は、とあるブログで投稿された記事のみをブックマークしていた「一般アカウント*1」がアカウントを凍結されてしまったと言う事件に対する抗議事例となっています。アカウント凍結された側からの問題提起はこれまでになかった点で、その意味では興味深い事例とも言えます。尚、こちらの事例については(いろいろ思うところもありますが)今回は特に言及はしていません。

SBM スパム、あるいは身内ブックマーク問題の歴史

ソーシャルブックマーク (SBM) のスパム問題、あるいは身内ブックマーク問題については少し時間をかけて追っていた事があったので、まず始めに、私が把握している事例をいくつか挙げていこうと思います。

記憶に残っている限りで最も古い事例は、2006 年 11 月頃に発生した これはspamですか? - 好奇心と怠惰の間 になります。この時は、とある大学の講義において「ブログ」と「はてなブックマーク」が題材に取り上げられた際に、受講生達がお互いの投稿記事を相互ブックマークし合った結果、一時的にですが、新着エントリー が該当記事で埋め尽くされる事態となりました。はてなブックマークのサービス開始から 1 年くらい経過した段階から、既にこう言った問題は顕在化し始めていた事が分かります。

はてなブックマークが一定の知名度を得るようになってからは、相互ブックマークを行う事を目的としたコミュニティがちらほら見られるようになりました。例えば、2010 年 9 月頃には アメブクま! と言うコミュニティが出現した他(参考:ブックマークファーム)、Facebook2ch まとめブログ界隈でも同様のコミュニティが存在すると言う指摘もありました(参考:はてなブックマークの現状)。

今年に入ってもいくつかの類似事例が発生しており、2013 年 7 月には Google Groups でブックマークを呼びかけている行為 が発覚して問題となった他、2013 年 9 月にはてなスパムに対するガイドライン を公開した際に、読み合おう会。はてなブックマークされたい同盟、もしくは読み合おう会、あるいは、はてブ互助会。)と言うコミュニティの運営者が自らの見解を述べると言う事例も見られました(参考:そろそろ、はてなブックマークスパム問題について当事者から語っておくとするか - 太陽がまぶしかったから。参考記事の筆者との関係性も誤解のようです……重ね重ね申し訳ありません。)。google:相互ブックマークググるとそれっぽい Web ページが結構ヒットしますので、私が追いきれていない類似例についても数多く存在するものと思われます。

また、SBM スパムや身内ブックマークと言う事例とは異なりますが、2008 年 3 月頃には 人気の動画 に掲載される動画が「アイドルマスター」関連のものばかりになって劣化したと言う批判が話題となりました。これらの事例を受けて、個人的に「スパムを『特定の話題ばかりをブックマークするユーザ』の最たるものと捉え、ユーザ間のブックマーク内容の類似度に応じてスコア(≒ブックマーク数)に重み付けを行う事によってこれらの問題を解決できるのではないか」と言う提案を行った事もありました(参考:はてブユーザ間の類似度)。

身内ブックマーク問題の難しさ

まず、原則論として、私自身は相互ブックマークを推進するようなコミュニティについては否定的です。こう言った類のコミュニティでは確かに「相互ブックマークの強制はスパム行為なので、自分が本当に良いと思った記事のみをブックマークしましょう」と言う注意書きを記載している事も多いのですが、「本当に良いと思ったかどうか」は各人の良識に委ねるしかなく「明確にスパム行為を意識して実行しているコミュニティ」に対して反論する(居直る)口実を与える危険性を秘めているためです。

しかし、身内ブックマークをどこまで許容するのか明確な基準を設けるのが難しいのも事実です。身内ブックマークに関しては、運営者であるはてなスタッフを見ていてすら類似現象が見られる時もあります(例えば、スタッフA「○○機能を実装しました」、スタッフB「私も関わってます」、社長「是非お試しください」、スタッフD「さすがスタッフAさん!」のようなブックマークの羅列)。また、最初の例に限らず、以下のように何らかのお題に対して類似記事を投稿する祭りが発生した際には、類似記事と言うだけでそのほとんどをブックマークするようなユーザが発生する事もあります*2

こう言った事例もしばしば確認されますので、何が身内ブックマークか、あるいは身内ブックマークをどこまで許容するかについては、これからもグレーゾーンとして残り続けるだろうと予想されます。

身内ブックマークの影響度は限定的か

身内ブックマークに関しては、「特定の条件が重ならなければ影響度は限定的である」と見る事もできます。

SIGCOMM 2008の併設ワークショップである,WOSN 2008で発表された,"Analysis of Social Voting Patterns on Digg", Kristina Lerman, Aram Galstyan を読んだメモです.

…(中略)…

この論文が主張するところ,ニュースが投稿されたとき,ニュースが広がっていくパターンは2種類あると述べています.一つめは,その記事を投稿したファンの人たち経由で広がっていくパターン(in-networks経由)と,その記事が本当に面白くて広まっていくパターンです.特に,前者の広まり方は,ファンが多いユーザが投稿したニュースをフロントページに押し上げる要因となります.

これを実証するために,著者等は,投稿初期におけるin-networks経由のDigg数の割合対最終的に得たDigg数を調べています.つまり,あるニュースがn票のDiggを取得した時点で,そのうち何票がin-networks経由かを調べて,それが最終的な得票数と相関があるかを調べたそうです.その結果,初期の投票のうち,in-networks経由な投票が多いほど,最終的な得票数は少ないという事実が明らかになったそうです.

Analysis of Social Voting Patterns on Diggを読んだメモ - NO!と言えるようになりたい

元の論文は Analysis of Social Voting Patterns on Digg (PDF) で閲覧する事ができますが、初期状態において「身内ブックマーク」の占める割合が多い記事の場合、最終的なブックマーク数はあまり伸びないと言う点が指摘されています。調査に使用されたのは Digg ですが、直近の例で言うと はてなブックマーク - 僕はトマトが嫌い - 無意味の意味 の「このエントリーを含むエントリー」一覧を見ても最多で 30 ブックマーク程度しか獲得していないので、「はてなブックマーク」に関しても同様の傾向があるのではないかと予想されます。

このような結果から、(例えば、2ch まとめブログのように更新頻度の非常に高い Web サイトが相互ブックマークのような行為を組織的に始めると全体に対して無視できない影響を及ぼす危険性も考えられますが)ソーシャルスパムに関しては はてなブックマークスパムが疑われるサイトを SoGap でフィルタリングする事にしましたとある Naver まとめユーザ (curation.jp) の Twitter スパム BOT 育成術*3 のように BOT を用いた大規模なものによる影響度の方が深刻になってきている事もあり、今回話題なったような事例であれば新たな対策を施すほどではないかなと言う感想を抱いています(相互ブックマーク行為を肯定している訳ではない)。

もっとも、「はてなブログはてなダイアリーを含む)」と「はてな匿名ダイアリー(増田)」については、現在、はてなブックマーク上での全体のバランスを崩すレベルで優遇(トップページに掲載されやすい)されていますので、その点と絡んだ問題に関しては今後、さらに顕在化していくと言う可能性はあります。

*1:本人達は BOT ではなく、またスパム行為を行っている等の意識もなかった、位の意味。

*2:さすがに、相互ブックマークを呼びかける等の行為は確認できませんでしたが。

*3:この事例自体は、はてなブックマークではなく Twitter 上に関するものです。

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